里山暮らしを実践の家

雑木林の良さを活かした家づくり

家のすぐ裏をたぬきや鹿、猪が毎日のように通るというS邸は、
清川村の住宅街の一角、雑木林の山の麓に建っています。
同じ会社に勤めるご夫婦の職場はお隣の厚木市です。
ずっと雑木林のある土地を探していましたが、
職場に近い場所で、理想の土地を見つけることができました。
Sさんご夫婦は、じつは独身時代にそれぞれ家を建てていました。
ところが家を建ててまもなく結婚することになり、
2軒の家は売りに出した上で、新たに家族で住む家を建てることにしました。
そして自然素材の家を建てたいと思っている時に、
やまゆり生協のチラシの中にトレカーサ工事のチラシを見つけました。

完成した自然素材の家は「夏は涼しく、冬は暖かい」のが気に入っています。その中でもおふたりが特にこだわったのは、建物の構造そのものでした。
「特に女性は装備にこだわりがちですが、装備はあとでいくらでも変えられますよね。建物は1度建てちゃうとあとからどうすることもできません。だから駆体をしっかり作ることに、いちばんこだわりました」と奥様。その言葉どおり、薪ストーブ以外は必要最低限の、至ってシンプルな設備があるだけです。

可動式造作収納棚

暖炉

建具上部通気口

木の香りが漂うS邸は1階に寝室と水回り、2階にワンフロアを丸ごと使ったリビングダイニングとキッチン、そして子どもの遊び場や収納となっているロフトスペースがあります。ロフトスペースはいずれは子供部屋として活用していきたいそうです。

特徴的なのは水回りが集まった洗面所です。
4.5畳ほどの広いスペースをとり、
壁一面に作り付けの収納を用意しました。
ここには、衣類や日用品がすべて納められています。
子どもが自分で洋服を手に取れるように、
手前の棚を低く設置しているのがポイントです。
「この家のコンセプトは
『子どもができるだけひとりでできる家』なんです。
うちは共働きなので、子どもたちには、
自分でできることはなるべく
やってもらえるようにしようと考えました」

そしてS邸の特徴は、なにより雑木林と隣接した環境にあるということです。夏はお昼頃まで陽が当たらず、窓を締め切っておけば、外気温が36度のときでも家の中は28度前後だそう。逆に冬は雑木林の葉が落ち、太陽が昇る角度が低くなるので、陽が当たりやすくなります。

風通しが良く、湿気を木が吸ってくれるため、
じめじめした感じは一切ありません。
自然の空調と薪ストーブのおかげで、
オール電化でも、
電気代は月7000円~10000円前後で済んでいます。
雑木林は、購入した当初はもっと鬱蒼としていました。
整備には、休日を返上して
かなりの労力をかけたそうです。
山に手を入れる大切さを、おふたりは実感しています。

「夏は木陰を作ってくれて、
冬は陽が差し込む。
木を間引けば獣よけになって、
風の通りもコントロールできる。
切った木は薪になるし、
落ち葉は堆肥になって
家庭菜園でおいしい野菜を作ってくれます。
こういうことは住まないとわからないですね。
実際に住むと、なぜ昔の人が里山を大事にして、
まめに整備していたのかがわかります」

共働きで忙しくしていても、
山に手を入れる大切さが理解できれば、
自然と共に暮らすことも実行できるようになる。
Sさんご家族は、家を作ることで、
そんな自然と共生する暮らしも
一緒に創り上げたのかもしれません。

森の駅発 健康住宅研究会 トレカーサ工事